工業用エアーフィルターとは?エアーフィルターの種類について徹底解説!
「工業用エアーフィルター」と聞いて、具体的なイメージがわきますか?実は、私たちの身近にある様々な製品の製造現場で、空気の清浄化や異物除去に活躍している縁の下の力持ち的存在なのです。
この記事では、工業用エアーフィルターの基礎知識から、種類、用途、導入事例までを分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、工業用エアーフィルターの重要性や仕組みを深く理解することができます。製造現場の品質向上や効率化に欠かせない、工業用エアーフィルターの世界を覗いてみましょう。
目次:
<1> 工業用エアーフィルターとは
<2> 工業用エアーフィルターの構造と仕組み
<3> 工業用エアーフィルターの使用目的
<4> 工業用エアーフィルターの形状による種類
<5> まとめ:工業用エアーフィルター選びのポイント
<1> 工業用エアーフィルターとは
工場やプラントなどの生産現場において、空気中に浮遊する塵埃や油ミスト、水滴などの汚染物質は、製品の品質低下や機器の故障、作業環境の悪化を引き起こす要因となります。工業用エアーフィルターは、これらの汚染物質を効率的に除去し、クリーンな環境を維持するために欠かせない装置です。
(1) エアーフィルターとは?
エアーフィルターとは、空気中に含まれる塵埃、花粉、カビの胞子、ダニの死骸やフンなどの微粒子を除去するフィルターのことです。空気清浄機やエアコン、自動車など、様々な場所で使用されています。その目的は、主に以下の2つです。
1. クリーンな空気の供給:
人体や製品、機器にとって有害な物質を取り除き、清潔な空気を供給するため。
2. 機器の保護:
機器内部への異物の侵入を防ぎ、性能低下や故障を抑制するため。
エアーフィルターの性能は、フィルターの材質、構造、捕集効率、通気抵抗などによって異なります。用途や環境に合わせて適切なフィルターを選ぶことが重要です。
(2) プラント業界におけるエアーフィルター
プラント業界では、特に空気の清浄度が求められる工程が多く存在します。例えば、医薬品製造工場や食品工場では、製品の品質を維持するために、空気中の微生物や異物を厳密に管理する必要があります。また、精密機械工場では、製品の精度を保つために、空気中の塵埃を極限まで除去する必要があります。このような環境では、高性能な工業用エアーフィルターが使用されます。
プラントで使用されるエアーフィルターは、その設置場所や用途によって、様々な種類に分類されます。主な種類としては、以下のようなものがあります。
種類 | 特徴 | 用途例 |
プレフィルター | 比較的大きな塵埃を捕集する、粗 filtration 用のフィルター | 空調機の給気口、換気扇など |
中性能フィルター | プレフィルターで除去できない、より微細な塵埃を捕集するフィルター | クリーンルームの予備 filtration、病院の手術室など |
HEPAフィルター | 0.3μm 以上の微粒子を99.97%以上の効率で除去できる高性能フィルター | クリーンルームのメインフィルター、半導体工場など |
ULPAフィルター | HEPAフィルターよりもさらに高性能で、0.1μm 以上の微粒子を99.999%以上の効率で除去できるフィルター | 超高集塵が求められるクリーンルーム、医薬品製造ラインなど |
ケミカルフィルター | 特定のガス状物質を化学反応によって除去するフィルター | 酸性ガスを除去するためのアルカリ性薬剤を含浸させたフィルターなど |
これらのフィルターは、単独で使用されることもありますが、複数のフィルターを組み合わせて使用することで、より高い塵埃除去性能を得ることができます。プラントの規模や工程、求められる空気清浄度に応じて、最適なフィルターシステムを構築することが重要です。
<2> 工業用エアーフィルターの構造と仕組み
工業用エアーフィルターは、一見単純な構造に見えますが、その内部には空気中の様々な汚染物質を効率的に除去するための工夫が凝らされています。フィルターの構造と仕組みを理解することで、適切なフィルター選定、運用が可能になります。
(1) 基本構造
工業用エアーフィルターの基本的な構造は、以下の要素で構成されています。
構成要素 | 役割 |
ろ材 | 空気中の異物を捕捉するフィルターの心臓部。ろ材の種類によって、除去できる粒子の大きさが異なります。 |
支持材 | ろ材を支持し、フィルターの形状を保ちます。ろ材の性能を最大限に発揮させるために重要な役割を担います。 |
フレーム | フィルター全体を囲み、強度と安定性を提供します。材質は、使用環境や用途に応じて、アルミ、SUS304、SS400、プラスチックなどがあります。 |
シール材 | フィルターとハウジングの隙間を塞ぎ、空気の漏れを防ぎます。フィルターの性能を維持するために重要な役割を果たします。 |
(2) ろ過の仕組み
工業用エアーフィルターは、主に以下の4つのろ過機構を組み合わせて、空気中の異物を除去します。
機械的捕捉(ふるい分け)
ろ材の繊維が構成する空隙よりも大きな粒子は、物理的に捕捉されます。これは、最も基本的なろ過機構です。
慣性衝突
空気の流れに対して慣性の大きい粒子は、気流に沿って曲げずに直進しようとするため、ろ材の繊維に衝突して捕捉されます。
拡散
微小な粒子は、ブラウン運動によってランダムに動き、ろ材の繊維に接触して捕捉されます。粒径が小さいほど、拡散効果は大きくなります。
静電的捕捉
帯電したろ材は、静電気力によって反対の電荷を持つ粒子を引き寄せ、捕捉します。この機構は、微細な粒子に対して特に有効です。
(3) ろ材の種類と特徴
工業用エアーフィルターのろ材には、様々な種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。主なろ材の種類と特徴は以下の通りです。
ろ材の種類 | 特徴 | 用途例 |
ガラス繊維 | 安価で、比較的ろ過効率が高い。耐熱性にも優れています。 | 一般空調、プレフィルター |
合成繊維(ポリエステル、ポリプロピレンなど) | 耐薬品性、耐水性に優れ、様々な環境で使用可能。 | 塗装ブース、食品工場 |
活性炭 | 多孔質構造を持ち、臭気ガスやVOC(揮発性有機化合物)の吸着に優れています。 | クリーンルーム、半導体工場 |
これらのろ材を単独で使用する場合や、複数のろ材を組み合わせることで、様々な用途に対応するフィルターが製造されています。適切なフィルターを選ぶためには、除去対象となる粒子の種類や大きさ、必要な清浄度などを考慮する必要があります。
<3> 工業用エアーフィルターの使用目的
工業用エアーフィルターは、さまざまな産業分野において、空気の清浄化や機器の保護といった重要な役割を担っています。
(1) 清浄な空気の供給
製造工程において、空気中に浮遊する塵埃や微粒子は、製品の品質に悪影響を及ぼす可能性があります。工業用エアーフィルターは、これらの汚染物質を効果的に除去し、高品質な製品の製造に貢献します。特に、精密機械工業や電子部品製造など、高い清浄度が求められる環境下では、エアーフィルターの役割は非常に重要です。
1. クリーンルームの維持:
半導体製造や医薬品製造など、極めて高い清浄度が要求されるクリーンルームでは、HEPAフィルターやULPAフィルターといった高性能なエアーフィルターが使用されます。これらのフィルターは、0.3μm以下の微粒子を99.97%以上の効率で除去することができ、清浄な空気環境を維持します。
2. 作業環境の改善:
粉塵の多い作業環境では、作業者の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。工業用エアーフィルターは、粉塵を効果的に除去することで、作業環境を改善し、作業者の健康を守ります。たとえば、製鉄所やセメント工場などでは、集塵装置と組み合わせてエアーフィルターが使用され、粉塵の発生を抑制しています。
<4> 工業用エアーフィルターの形状による種類
工業用エアーフィルターは、設置場所や用途に合わせて様々な形状があります。
(1) パネルフィルター
平面状のフィルターで、最も一般的なタイプです。空調設備の吸気口や排気口などに設置されます。
(2) 円筒フィルター
円筒形のフィルターで、主にダクト内に設置されます。圧力損失が少なく、大量の空気処理に適しています。
<5> まとめ
工業用エアーフィルター選びのポイント
最後に、工業用エアーフィルターを選ぶ際に考慮すべきポイントをご紹介します。最適なフィルターを選ぶことで、設備の安定稼働、製品の品質向上、そして作業環境の改善を実現できます。
1. 使用環境に合わせたフィルター性能
粉塵の種類、流量、温度、湿度など、設置場所の環境は多岐にわたります。それぞれの環境に最適なフィルターを選定することが重要です。たとえば、高温環境では耐熱性に優れたフィルターが必要となりますし、湿度が高い環境では、防カビ処理が施されたフィルターが適しています。
2. フィルターの濾過精度
フィルターには、除去できる粒子の大きさに応じて、様々な濾過精度があります。必要な濾過精度は、保護したい機器や製品、あるいは求められる空気清浄度によって異なります。精密機械を扱うクリーンルームでは、0.1μm程度の微粒子を捕捉できる高性能なフィルターが必要となる一方、一般的な工場では、数μm程度の粒子を捕捉できるフィルターで十分な場合もあります。目的に応じた濾過精度のフィルターを選びましょう。
3. フィルターの交換時期
フィルターは消耗品です。定期的な交換を怠ると、目詰まりを起こし、空気流量の低下やフィルターの破損に繋がる可能性があります。フィルターの交換時期は、使用環境やフィルターの種類によって異なりますが、一般的には、圧力損失の上昇や目詰まりの兆候が見られたら交換の目安となります。メーカー推奨の交換時期を守り、適切なメンテナンスを行いましょう。
4. コストパフォーマンス
フィルターの価格は、性能や材質によって大きく異なります。安価なフィルターは初期費用を抑えられる一方、交換頻度が高くなる可能性があり、結果的にコストが嵩んでしまう場合もあります。長期的な視点でコストパフォーマンスを考慮し、最適なフィルターを選びましょう。
信頼できるメーカーの選択
工業用エアーフィルターは、設備の安定稼働や製品の品質、そして作業環境に大きな影響を与える重要な要素です。そのため、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要になります。また、技術サポート体制が充実していることも重要なポイントです。フィルター選定や導入に関する相談に乗ってくれるメーカーを選ぶことで、安心してフィルターを使用することができます。
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項目 | 詳細 |
対応分野 | 化学プラント、食品工場、医薬品工場、電子部品工場など幅広い分野に対応 |
製品ラインナップ | サクションフィルター、ラインフィルター、フィルターハウジングなど豊富な製品ラインナップ |
技術サポート | 経験豊富な技術スタッフが、フィルター選定から導入、メンテナンスまでお客様をサポート |
大同工機は、お客様の課題解決に貢献できるよう、日々努力を重ねています。工業用エアーフィルターのことなら、ぜひ大同工機にご相談ください。
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